イタタ…。
最近になって膝が痛むことが多くて、
腫れてる感じがするのよね。
正座もできないし…。
私も膝が痛くて病院に行ったら「炎症」って言われたわ。
なんでも「水が溜まってる」せいで腫れてるらしいわよ。
特に何をしたわけではないんだけれど、
年齢のせいかしら…。
年齢のせいって…。
それじゃ一生治らないってことよ?
しかも若くて痛い人はどうなるのよ(笑)
確かにあなたの言う通りね。
治療はどんなことしたの?
痛いことされるのかしら?心配だわ…。
私は整形外科で水を抜いてもらったわよ。
それからは湿布や痛み止めを出してもらって、
なんとなくよくなっている気がするわ。
近所の奥さんは何度もやってるみたいよ。
注射で水を抜くと「クセになる」って
聞いたことあるけど大丈夫なのかしら。
私は一回抜いたらそれっきりね。
でも確かに、病院の待合室でもその話は聞いたことあるような…。
水を抜いたら「クセになる」って職場の上司も言ってたわ。
どうしてクセになるのかしら?
膝に溜まった水は抜いた方がいいの?
私はわからないから、大野先生に聞いてみようか。
こんにちは。那須塩原市を中心に活動している出張整体リセットの大野です。
膝の痛みでお悩みの方は本当に多いですよね。このブログでは「膝に水が溜まったら抜いた方がいいのか?」「クセにはならないのか?」について、普段説明している内容をご紹介したいと思います。
抜きたいなら抜くべし
結論から言うと、「水を抜くことが目的なら」抜くべきです。ただ、オススメはしません。
水は抜いた方がいいの?とご相談いただくことがよくありますが、一貫してこの答えになります。だって「抜きたい」なら抜くしかないんです。物理的に。でも、水を抜きたいというのが「痛みをとるため」だったり、「治すため」であるなら・・・。やっぱりお勧めできません。
まずは、どうして水が溜まっているのかを知りましょう。その上で水を抜くかどうか自己判断しましょう。目的を達成するために何を選択するのがベストか考えてもらうといいと思います。
どうして水が溜まるのか?
そもそも関節は「関節包」という袋に包まれていて、その中を関節液という名の潤滑油が満たしています。そうすることで関節の動きを滑らかにしたり、関節の軟骨に栄養を送ったりしています。
そのつくりは水風船をイメージしてもらうとわかりやすい構造になっていて、「膝に水が溜まった」とは水風船の中の水が増えてしまっている状態です。当然、水が多くなればなるほど内側から外側への圧力が強くかかりますので、パツパツする感じがイメージできるかと思います。
では、どうして水が増えるのか・・・。それは、「水が正常に処理されないから」です。関節内の水も体液ですので本来は血液と同じように循環しているのですが、何らかの影響で循環が滞り水が溜まります。ここで言う「処理」とは、関節から見れば排泄であり、体全体から見れば吸収といったところでしょう。
炎症って言われてるんだけど…
一般論として、「膝の水=関節の炎症」はよく聞く話です。実際に整形外科を受診すればそう説明されるでしょうし、私が接骨院の現場にいる時も同様の説明をしていました。が、私はそこを疑ってほしいと思っています。与えられた情報だけを鵜呑みにして自分で考えることをしないと、もしかすると本当にひどい痛い目に合うかもしれないからです。
膝だけの話ではないのですが、痛みなどの症状を診る機会の多いこの業界では「炎症」というパワーワードに流されているのが現状です。誰しも聞いたことがある馴染みのあるワードですし、炎症であればある程度時間がかかるのは仕方ないというあきらめが心理的に働きます。それは医療者サイドも、患者サイドもです。
しかし、炎症について詳しく知ると「あれ?おかしいな。」となります。実際の症例でも、「痛みはひいたけど水がひかない」とか「施術中にみるみる水がひく」とか、炎症の一言で片付けるには到底困難な矛盾点が多い現実があります。ここを無視してはいけません。
水を抜くとどうなるの?
関節内の水を抜くと、関節内から水がなくなります。当たり前のことです。パツパツしていた圧力が減って痛みが楽になることもあるでしょう。腫れていて膝を通らなかったズボンの裾が通るようになることもあるでしょう。でも、負の側面もしっかり理解しておくことは非常に重要です。怖いリスクを回避できるからです。
関節内の水(関節液)には役割があります。関節軟骨の摩擦を減らして滑らかな関節運動を実現するために必要です。また、関節軟骨には血管が通らないため血液によって栄養が送られることがありませんので、関節液がそれを担うことになります。そんな大切な役割のある「水を抜く」ことを繰り返していると、例えばこんなことが起こります。
関節の軟骨同士に摩擦が起こりザラザラしてきます。栄養する術がないわけですから、修復もされません。すると、滑らかな関節運動は制限がかかり、正座がしにくくなったりします。変形が進行すれば、がに股の様なプロポーションになったりするかもしれません。レントゲン画像には骨がとんがったように写り、変形性関節症と診断されるかもしれません。
また、関節の内部は無菌状態ですので、注射をする際に皮膚消毒は当然しても、完璧に菌の侵入を防ぐことは極めて困難です。無菌状態の関節内に皮膚や空気中の菌が侵入すると「化膿性関節炎」を引き起こします。治療は関節内の洗浄や抗生物質の全身投与を行いますが、そうなると体への負担も金銭的コストも桁違いに大きくなります。確率としては高くはないですがゼロではありませんし、本来必要のない選択をしてつらい思いをする必要もないと思うんです。
クセになるって本当?
一般的に「何度も水が溜まり、繰り返し抜くことになる」ことを「クセになる」と表現しているようなので、その前提で解説します。答えは、人それぞれです。実際に何度も繰り返している人も診ましたし、一回で終わった人も診ましたので。
正常な関節を維持するために関節液が重要であることは充分ご理解いただけたと思います。その関節液が注射によってなくなれば、体の反応としては関節液を補充するように作用します。だから繰り返すのです。その生体システムの作用もどこかのタイミングで疲弊し枯渇します。すると、前出の変形性関節症を引き起こす状態になるのだと推測できます。それが人によっては1回目の注射かもしれませんし、10回目かもしれません。
だから「クセになる」は本当です。生体システム(全身状態)に不備があることを、今回は膝が知らせてくれているのかもしれません。
まとめ
今回は、【膝に水が溜まったら】抜いた方がいいの?抜くとクセになる?というタイトルでブログを書いてみました。水が溜まったら病院に行き、当たり前のように水を抜いている方がいたら、これを読んで早く気付いてもらいたいです。膝のトラブルでお悩みで、どこに行っても良くならないという方はご相談くださいね。